犬の攻撃性:一目でわかる原因と対策



犬の攻撃行動について
遺伝と環境が複雑に絡み合う行動の理解
犬の威嚇や噛みつきといった攻撃行動は、遺伝的な素質と後天的な環境要因が複雑に絡み合って生じるものです。特定の行動が遺伝だけで決まるわけではありません。
遺伝的要因
犬種による傾向
長年の選択的な交配により、犬種ごとに特定の行動傾向が見られます。例えば、チワワやポメラニアンのような愛玩犬グループは、見知らぬ人に対して高い攻撃性を示す傾向があります。一方、ラブラドール・レトリーバーのようなレトリーバーグループは攻撃性が低いとされています。大型犬が致死的な事件に関与する統計もありますが、小型犬の噛みつきは重傷につながりにくいため、統計的に見過ごされがちであるという側面もあります。
特定の遺伝子
モノアミンオキシダーゼA(MAOA)遺伝子や、ストレスホルモンに関連するメラノコルチン2型受容体(MC2R)遺伝子など、犬の恐怖心や攻撃性に関わる特定の遺伝子も研究で示唆されています。しかし、これらの遺伝子の発現は環境によって大きく左右されます。
環境的要因
犬の行動は、遺伝的な素質がどのように発現するかを決める、経験と学習によって大きく形成されます。
社会化
生後1〜3ヶ月頃の社会化期にさまざまな人や環境に触れる機会が少ないと、臆病になり、恐怖心から攻撃的になる可能性が高まります。
学習
攻撃行動は、犬が「吠えれば要求が通る」「噛めば嫌なことをされない」といった成功体験を繰り返すことで強化され、エスカレートしていく傾向があります。
トラウマや不適切な接し方
交通事故や虐待といったトラウマは、犬に人間不信や攻撃性を引き起こすことがあります。また、体罰などの不適切なトレーニングは、犬に強い恐怖心を与え、信頼関係を破壊します。飼い主が不安になりやすい性格だと、犬も不安定になりやすいという研究結果もあります。
改善に向けたアプローチ
攻撃行動は決して「宿命」ではありません。適切なアプローチで改善が可能です。
医療的な診断
まずは、問題行動が体の不調や痛みから来ていないか、獣医師に診てもらうことが重要です。
環境の管理
攻撃行動の引き金となる状況や刺激を避け、犬が安心できる生活環境を整えることが応急的な対処法となります。
行動修正
攻撃行動を「やめさせる」のではなく、「望ましい行動を促す」ことに焦点を当てます。問題行動をしたときは無視し、逆に落ち着いているときや良い行動ができたときにすぐに褒めて報酬を与えることで、行動パターンを根本から変えることができます。
専門家への相談
自己流のしつけは事態を悪化させるリスクがあるため、ドッグトレーナーや「獣医行動診療科」の専門家に相談することが推奨されます。獣医行動診療科は、行動の根本原因を診断し、個々の犬に合わせた専門的な治療プランを立ててくれます。


